「年収が高い=豊か」と、思われがちですが、本当に大切なのは【手元に残るお金】です。
いくら収入が多くても生活費や物価が高ければ、自由に使えるお金は意外と少なくなってしまいます。
自由に使えるお金は、収入から税金や社会保険料などの必ず支払う分を引いた後に残る手取り収入(可処分所得)、さらに手取り収入から生活費(住居費や食費など)を差し引いたお金です。
たとえ年収が多くても、家賃や物価が高ければ、生活は厳しくなり、貯金や趣味に回せるお金は思ったより少なくなってしまいます。

では「年収が高く、しかも物価が安い」、つまり【実際に使えるお金が多い地域】はどこなのでしょうか?
この記事では、国などが出しているデータをもとに、本当に豊かに暮らせる都道府県を、分かりやすく解説していきます。
数字だけでは見えてこない、地域ごとの暮らしやすさにも触れながら、あなたの今後の選択肢のひとつになるような情報をお届けします。
年収(所得)が高く、物価が安い!自由に使えるお金が多い都道府県
結論からいうと、国土交通省が公表したデータによれば、世帯の手取り収入が高く、生活コスト(家賃・食費・光熱費)が低い都道府県は、茨城県、三重県、富山県などです。
つまり、「自由に使えるお金」の月額が多い都道府県になります。
自由に使えるお金が多い都道府県ランキング


参考:国土交通省 都道府県別の経済的豊かさ(可処分所得と基礎支出)



具体的に、どのくらい「使えるお金」に差があるのでしょうか?
上記データに基づく推計では、1位の三重県では月あたり約26万円ものお金が手元に残り、2位の富山県もほぼ同水準です。



茨城県も月あたり、約25万円以上は自由に使えるお金があるとされています
※金額は、世帯収入になります
平均年収が最も高い東京都は、意外と自由に使えるお金は少ない



平均年収が最も高い東京都が、上位に入っていないのが意外ですね



確かに、都市部を中心に平均年収が高い傾向が見られ、東京都が最も平均年収が高く、次いで神奈川県、千葉県と続いています。
さらに、国土交通省のデータによりと、東京都は「全世帯」の可処分所得ランキングでも3位には入ります。


しかし、富裕層を除いた中央世帯のみの可処分所得になりますと、12位になります。
データ分析のやり方で、見え方が変わってしまうことがありますが、「国土交通省の都道府県別の経済的豊かさと通勤時間の機会費用」の報告では、生活費と通勤による機会損失まで考慮すると、東京都の中間層の可処分所得は47都道府県中なんと47位(最下位)だったと報告されています。


東京が最下位になった要因としては、通勤で失う時間的なコストを含んでいます。東京は、通勤で使う時間が最長となっており、それを金額に換算したことによることです。
東京をはじめ大阪府や神奈川県など大都市圏の都府県は、「使えるお金の多さ」で見ると、地方に比べ少ない面があります。
使えるお金は、大都市圏で少なく、地方が多い要因
みなさんのイメージと異なり、大都市圏で使えるお金が少なくなっている原因は、いくつか原因があります。
収入編
まず、一般的に収入面でよく目にするのは、平均の年収のため、実態の数値よりも高くなる傾向があります。
そのため、中央値で見ないと実態をより反映できていない面があります



分かりやすいように、極端な例を図解しますね


年収200万円~500万の人がいる中で、一部の人だけが凸出していると、平均値が押し上げられ、実態ともなわない数字が出ることがあります。



平均年収で見ると、東京には富裕層が集まっているため、実態よりも高く見えてしまうのね



平均年収が高いから、みんなが高い年収を貰っていると誤認してしまうことがありますよね
お店などにアルバイト募集の案内がかかれていることもあり、東京の時給は高いようにも見えますが、時給1500円の年収換算は、288万円なので意外と少ないこともあります
支出面
大都市圏は地価が高いので家賃も高く、商品を売るのにも店舗の家賃も高くなるため、全体的な物価を押し上げる結果となっています。
家賃(地価)の高さが、収入に占める生活費(住居費や食費など)の割合が高くなる傾向にあります。



「高い住居費を払ってでも東京に行けば、収入は増える」イメージがありましたが、それは人や環境によるんですね



情報と実態がズレていることって、意外とありますよね
都道府県別の年収ランキング
とはいえ、「地方はそもそも収入が低いのでは?」と思われるかもしれません。



一般的なイメージ通り、平均年収が最も高いのは東京都です。
厚生労働省の調査(令和6年賃金構造基本統計調査)や民間の調査でも東京は常にトップで、次いで神奈川県や愛知県、大阪府など都市部が上位を占めます。
たとえば、大手転職サービス・DUDAの集計によると、直近の都道府県別平均年収は、1位:東京都(約471万円)、2位:神奈川県(452万円)、3位:千葉県(435万円)、4位:埼玉県(426万円)、5位:茨城県(424万円)となっています



トップ5はいずれも関東地方の県が占めており、やはり首都圏は平均年収が高い傾向が見られます



日本三大都市と、東京の周辺が高い傾向にありますね
特に関東は、企業や行政の中心でもありますし、日本最大の平地があるので人口や工場などを受け入れるキャパが大きいためアドバンテージがあります。
東京近郊は高年収の人も多く、「稼ぐ力」が強い地域と言えます。



しかし、年収の高さ=豊かさではない点に注意が必要です。
次の章で説明するように、年収が高くても出ていくお金が多ければ、実際に使えるお金は思ったほど残らないのです。
使えるお金を左右する生活コスト。家賃・食費・水道光熱費の重要性
収入から引かれる税金や社会保険料(いわゆる天引き分)は、基本的に全国どこでも同じ計算ルールです。
そのため「手取り収入」自体に地域ごとの差はほとんどありません。
つまり、本当に豊かさに差が出るのは、そのあとの【生活費】の違いによるものなのです。
では、生活コストにはどんなものがあり、地域によってどの程度差があるのでしょうか。
物価が最も高いのは東京 最も安いのは鹿児島県
主な生活費としては住居費(家賃や持ち家のローン)、食費、水道・光熱費、交通費などが挙げられます。
総務省の統計によると、地域ごとの物価水準を示す消費者物価指数は、東京が全国平均の104.5で最も高く、鹿児島県が95.9で最も低いという結果が出ています


参考:茨城県公式サイト



物価が安くても収入が少なくなってしまっては意味ないし、高い収入を得ても生活費で消えてしまうのも問題なので、バランスが大切ですね
生活コストが地域差で大きくなるのが住居費(家賃)
単純比較すると、東京は鹿児島より物価水準が約9%高い計算です。
この「物価」の中には様々な品目がありますが、中でも地域差が大きいのが住居費(家賃)です。
都道府県間の家賃水準を比べると、なんと最大で1.6倍もの開きがあります



2024年には東京のワンルームの平均賃貸価格が、月額10万を超えた話が話題になっていましたね
政府統計の総合窓口(e-Stat)の2023年のデータによると、東京都の住居費指数が「127.2」と突出して高い一方、最も低い石川県は「81.2」となっており、東京と地方では家賃相場に大きな差があるのです
参考:統計のリアル


家賃の高さは、
食料品の価格差は、比較的小さい傾向
一方、食料品の価格差は比較的小さいことも分かっています。
総務省の分析(消費者物価地域差指数)によれば、都道府県間の価格差が最も小さい品目は「保健医療」「交通・通信」で1.05倍程度、次いで「食料」が約1.11倍程度とのことです





体感的には、食料品は地方と東京では、もっと大きく感じますね



最近は、東京のコメの価格が5kg5000円とか、キャベツが1000円を超えた話もありましたが、茨城ではコメ5kg3500円程度、キャベツも最高でも500円は超えていなかった気がする



食品メーカーが作る商品や、外食チェーンの商品など、地域差がない商品もありますから、平均すると1.11倍くらいなのかもしれませんね
収入が高くても、生活コストが高ければ、使えるお金は少ない
東京で高給を稼いでも家賃で消えてしまえば貯金はなかなか増えませんが、地方で適切な住居費に抑えれば、収入が多少低くてもゆとりを持ちやすいのです。
高い可処分所得(手取り年収)×低コストの暮らしで豊かな生活
手取り収入が高く、物価の安い地域に住めば、使えるお金が多くなり、豊かな生活ができそうなことが分かりました。
実際に、使えるお金が多い茨城県の状況を見て見ましょう
茨城県は、高い可処分所得(手取り年収)がある
茨城県は「使えるお金が多い都道府県ランキング」で常に上位に入ってくる県です
理由として、収入面と支出面のバランスが非常に良いことにあります。
まず収入面では、茨城県は首都圏(関東地方)の一角であり、先述のように平均年収が全国5位と高水準です
県南部(つくば研究学園都市・土浦市・取手市・守谷市など)には大手企業の研究所や工場が立地していたり、東京への通勤圏でもあるため、高めの所得を得ている世帯が多い傾向があります



経済の大きな地域で働き、物価の安い地域で暮らせるといいケド、そんな都合いい場所が本当にあるの?



つくば市は、つくばエクスプレスで秋葉原まで、最短45分!
実は、東京の八王子から山の手まで来るよりも早いんですよ



取手駅には、東京メトロ千代田線の直通運転が行われていますしね。
八王子の地価とに比べると、つくば市の地価はおおよそ半分くらいの地価なのでコスパはいいですね。
茨城県は、政令指定都市を持たない都道府県の中で最も人口が多い県です。また、平地が広がっていて、海にも面しているため港があり、工場などの産業施設をつくりやすい環境が整っています。
これらの地域的メリットがあり、国の統計でも茨城県の可処分所得(手取り収入)平均は全国4位となっており、これは首都圏近郊のメリットと言えるでしょう
茨城県は物価が比較的安く、生活コストを低く抑えやすい
茨城県は物価が比較的安く、生活コストを低く抑えやすい地域です。
地価が安い
特に顕著なのが住宅関連コストで、賃貸家賃や土地代が東京に比べて大幅に安いです。
茨城は、都道府県別の「可住地面積(人が住める土地の面積)」のランキングでは4位。可住地面積率の高い都道府県ランキング(総面積に対する割合)でも5位と、使える土地が広いため、地価が比較的割安です。
たとえば、茨城県内で地価が高い地域である守谷市でも、平均地価は1㎡あたり約13.6万円程度、つくば市は8.1万円程度です。
一方、東京都心部では場所によりますが1㎡あたり数十万円から数百万円というケースも珍しくなく、土地・家賃の水準は東京と茨城で桁違いです。



郊外型の一戸建てであれば、東京近郊では到底買えない広さの家が茨城なら手の届く価格で手に入る、ということもしばしばあります。



家を作るための資材が高騰していて「普通に働いていては家を買えない」というニュースを耳にしますよね
野菜や食材の産地が近いため食費も抑えめ
また茨城県は全国有数の農業県であり、野菜や食材の産地が近いため食費も抑えめです。
地元産の新鮮な農産物が手頃な価格で手に入るので、家計に優しいと言えるでしょう。



旬の季節には、採れ過ぎた農産物ももらえたり、直接農家さんから直接買ったりしています
これらの状況から、スーパーでも価格上昇にが抑制的です。
さらに、水道料金や公共料金も都市部ほど高くなく、全般的に日々の暮らしにかかるお金が少なく済みます。



港からの距離も近いため、ガソリンも全国平均より常に安めですね
通勤・移動のロスが少ない
もう一つ、茨城県ならではの強みとして通勤・移動のストレスが小さいことが挙げられます。
都市圏では満員電車による長時間通勤が日常ですが、茨城県では自家用車通勤が主流で、慢性的な大渋滞も一部を除いてさほど深刻ではありません



東京に電車通勤する人も、茨城から乗車すればだいたい椅子に座れますし、30~45分で都内には入れなすからね
広い道路や駐車場が整備された郊外型の街が多く、通勤電車に揺られるストレスフルな毎日を送らずに済むライフスタイルも可能です
テレワークの普及
テレワークも普及したので、毎日出社しなくても良い働き方が増えてきているので、茨城県内で都内の仕事をすることもできます
また、テレワークの見直しされ、出社を元もられた際でも茨城県であれば十分に日帰りが可能です。
茨城のように程よく都会に近くて暮らしやすい地域の価値はますます高まるでしょう。
茨城県のおすすめの地域
つくば市
交通アクセス:つくばエクスプレス(TX)で秋葉原まで最短45分。
生活環境:研究学園都市として整備され、商業施設や医療機関が充実。
子育て・教育:小中一貫校やICT教育が進んでおり、教育環境が整備されている。
自然・文化:筑波山をはじめとする自然が豊かで、都市と自然が調和。
その他の特徴:平均所得が県内トップクラスで、移住者にも人気。
水戸市
交通アクセス:JR常磐線で東京まで特急で約1時間半。
生活環境:県庁所在地として商業施設や医療機関が充実。
子育て・教育:教育・子育て環境が充実しており、多彩な遊び場もある。
自然・文化:偕楽園や弘道館など、歴史的な名所が多く存在。
その他の特徴:コンパクトシティとして、都会の暮らしと自然を楽しめる。
守谷市
交通アクセス:つくばエクスプレスで秋葉原まで約30分。
生活環境:商業施設が充実しており、生活の利便性が高い。
子育て・教育:子育て支援が手厚く、教育環境も整っている。
自然・文化:緑地が多く、自然体験が豊富。
その他の特徴:人口密度が高いが、緑被率が高く、ゆったりとした住環境。
土浦市
交通アクセス:JR常磐線で東京まで約1時間。
生活環境:駅周辺に大型商業施設があり、生活の利便性が高い。
子育て・教育:自然豊かな環境で、子育て支援も整備されている。
自然・文化:霞ヶ浦に面し、水と緑の豊かな環境。
その他の特徴:家賃や土地の価格が比較的安く、移住支援も手厚い。
つくばみらい市
交通アクセス:つくばエクスプレスで秋葉原まで約40分。
生活環境:新興住宅地として発展し、若い世代に人気。
子育て・教育:教育施設が充実しており、子育て支援も整備されている。
自然・文化:自然に囲まれた落ち着いた住環境。
その他の特徴:農業が盛んで、新鮮な農産物が市場に出されている。
取手市
交通アクセス:JR常磐線の始発駅で、上野駅まで最短約33分。
生活環境:公園や緑地が多く、自然を感じながら生活できる。
子育て・教育:保育園の待機児童が少なく、学童保育や放課後子どもクラブなどの支援制度が整っている。
自然・文化:「アートの街」としても知られ、芸術活動が盛ん。
その他の特徴:通勤のしやすさ、マイホームの持ちやすさ、子育てのしやすさ、起業・創業のしやすさがほどよく絶妙なバランスの街。
桜川市
交通アクセス:道路・鉄道・バスが整備されており、主要都市へのアクセスが良い。
生活環境:自然に囲まれた落ち着いた雰囲気で、地域交流が盛ん。
子育て・教育:若者から高齢者まで、幅広い年齢層を手厚くサポート。
自然・文化:筑波山をはじめとした山並みに囲まれ、市の中央には市名の由来となった桜川が流れています。真壁の古い街並みや高峯のヤマザクラなど、歴史的な名所や文化財が多く存在します。
その他の特徴:桜川市に移住した方には、最大200万円の助成金が支給される制度があります。地域の祭りやイベントが盛んで、住民同士のつながりが強いです
「収入の多さ」ではなく「手元に残る豊かさ」を考える生活
お金に関する豊かさを考えるとき、つい「年収〇〇万円」といった収入の額に目が行きがちです。
しかし、本当に大切なのは収入から必要経費を引いた後に何が残るか、つまり「使えるお金の多さ」であり、それこそが日々の暮らしの豊かさを左右します。
今回見てきたデータからも、単に年収が高いだけでは十分ではなく、生活コストとのバランスが重要であることが分かりました。
東京など大都市は稼げる反面、物価高・家賃高で出費もかさむため、必ずしも「豊かに暮らせる土地」とは言えない面があります。
一方、地方は収入面で見劣りしても、支出が少なければ結果的に手元に残るお金が多く、ゆとりある生活が可能になるケースが多いのです。
今後、働き方や住む場所を選ぶ際には、ぜひ「収入の多さよりも、可処分所得の多さ」に注目してみてください。
リモートワークの普及などで場所の制約が減った今、自分や家族にとって本当に豊かな暮らしができる地域はどこか、視点を変えて考えてみる価値があります。
収入を上げることも大事ですが、支出を賢くコントロールして手元に残る豊かさを最大化することが、真の意味で豊かな生活への近道かもしれません。
地域選びもその一つの手段です。「どこで暮らすか」によってお金の使い方・残り方がこれほど違う――データで見えたこの事実を、ぜひ今後のライフプランの参考にしてみてください。
自分に合った場所で、収入と支出のバランスが取れた豊かな生活を実現しましょう。
これらを総合して考えると、茨城県は「収入の高さ」と「物価の安さ」のバランスが取れた暮らしやすい県だと言えます。データ上も、茨城県は可処分所得の余裕額(手取りから生活費を引いた残り)が全国でトップクラスであり、多くの茨城県民が経済的にゆとりある生活を送っていることが示されています
派手さはないかもしれませんが、実は生活満足度の高い穴場の地域なのです。