長く地元に暮らしていると、当たり前になりすぎて、地元の良さが見えなくなることがあります。
そこで、桜川市への移住者や地域おこし協力隊の方々に「どうして桜川市を選んだのか?」を尋ねると、半世紀近くここで暮らしている私でさえ気づかなかった魅力を、たくさん教えてもらいました。
小林かつのりその声をもとに、マーケターの視点からさらに調査を進めてみました。
すると、桜川市には「ライバルには真似しにくい独自の価値」が多く眠っていることがわかりました。
一方で、それらがまだ十分に活かされていなかったり、アピールが十分でない現状も見えてきました。
桜川市は市政が始まった当初、約5万2千人でスタートしましたが、この20年で3万5千5百人まで人口が減少しています。
商店や学校も減ってしまい、このままさらに人口が減れば、スーパーなど生活インフラを支える企業が撤退してしまうおそれもあります。
だからこそ今こそ、桜川市の「独自の価値」を成長戦略のカギにすべきです。
地域の魅力を磨き、発信し、「桜川市に住みたい」と思われるまちへ育てていくことが大切だと感じています。
この記事では、桜川市に眠る“成長戦略へと変えられる独自の価値”を、マーケターの視点からわかりやすくご紹介します。
桜川市が誇る3つの独自資産とその価値


ふだん当たり前のように過ごしている風景や文化も、少し視点を変えて見つめ直してみると、実はとても価値のある“宝物”であることに気づくことがあります。
桜川市には、そんな「外から見れば圧倒的に魅力的だけど、地元では見過ごされがちな価値」がたくさん眠っています。
この記事では、その中でも特に注目したい他の地域には真似しにくい3つの魅力資産をご紹介します。
山の文化と、熊がいない山での安全なアクティビティ


桜川市には、筑波山や加波山をはじめとする美しい山々が連なり、古くから人々の信仰とともに歩んできた歴史があります。
市内には、国の重要文化財や登録文化財に指定された神社仏閣が数多く点在し、「山と祈りの文化」が今も息づいています。
こうした深い歴史や文化に加えて、桜川市の山々は全国的にも珍しい“熊のいない山域”として知られています。
全国各地で熊の被害が増える中、桜川市では安心して自然の中で過ごせるのが大きな魅力です
さらに、東京から約2時間でアクセスできる利便性もポイントです。関東平野に位置しながら、日本百名山の筑波山をはじめとした本格的な登山が楽しめるのは非常に貴重です。
市内には、天然記念物の桜が咲き誇る四季折々のハイキングコースも整備されています。
登山だけでなく、マウンテンバイク(MTB)専用コースやオフロードバイクの林道もあり、整備されたルートのほか、自然に近い手つかずのエリアも残されています。
また、車で気軽に行けるキャンプ場から、自然の山の中で過ごす本格的なキャンプ場まで、さまざまなスタイルの自然体験ができるのも大きな魅力です。
観光地化され過ぎてない自然の残るポイントは、中・上級者のアウトドアファンからも人気です。
豊かな自然を体いっぱいに感じながら、熊のいない山での多彩なアクティビティを安心して楽しめます。
桜川市の人々にとっては当たり前のようにある山々も、外から見ると想像以上に価値ある自然資産であり、それこそが桜川市ならではの独自性のある大きな強みです。


歴史的な町割りと真壁のまちなみ


桜川市真壁地区には、江戸時代から続く町割りと、300棟を超える歴史的建造物と100棟をこえる登録文化財が残されており、町全体が歴史の面影を色濃くとどめています。
蔵造りや町屋が並ぶ町並みは、関東平野ではめずらしく、平成22年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
こうした景観は、単なる観光資源ではなく、今も地域の人々が暮らしの中で大切に守り続けてきたもの。
かつての城下町の骨格が今もそのまま活かされ、ゆったりとした時間が流れる街並みは、訪れる人にどこか懐かしさと安心感を与えてくれます。
観光地化されすぎていない、生活と歴史が共存するこの風景は、訪れる人に深い感動を与えるだけでなく、歴史ある暮らしを日常にできる、他にはない貴重な地域資産です。


無形文化が今も生きる町


真壁祇園祭や真壁のひなまつりをはじめ、伝統芸能や祭礼など地域に息づく無形文化が今も大切に受け継がれています。
真壁藍染めや、伝統工芸に認定されている石工の技術など、ものづくりの文化も息づく町です。
また、江戸時代から続く真壁祇園祭や、住民有志の手で始まった「真壁のひなまつり」など、地域に根ざした催しが今も受け継がれています。
中でも真壁のひなまつりは、成功した町おこしの事例として全国的にも知られるようになりました。
真壁の歴史的な町並みに立ち並ぶ伝統的な家屋およそ160軒が雛人形を飾り、訪れる人々を温かく迎えます。
毎年2月から3月にかけて開催され、約8万人が訪れるまでに成長したこの町おこしイベントは、地域の誇りであり、今では桜川市を象徴する文化となりました。
こうした無形文化は、地域の誇りであると同時に、来訪者との交流や人のつながりを生み出す、かけがえのない地域資産です。







以上の3つの強みを掛け合わせ、「観光で終わらせない」持続的な関係人口の創出や移住促進につなげる戦略が、桜川市をライバルに真似できない形で成長させる鍵となります。






















